医療コラム　　第５回

前回、医療機関においての個人情報の種類と
漏えい時のリスクについてお伝えしてきました。

今回は個人情報保護について具体的な対策を提示していきます。


 

【クリニックにおける個人情報保護対策】

（1)個人情報の取扱状況の把握

まず、どんな種類の個人情報が、どこに・何件あるのかを把握していきます。

その中には患者さんの情報だけでなくクリニックで働くスタッフの個人情報も含まれ、
履歴書や連絡網などもその対象となってきます。

(2)マネジメントシステムを構築

どんな種類の個人情報が、どこに・何件あるかが把握できたら
その情報マネジメント方法を確認します。

クリニックが把握している個人情報にアクセスするのは誰か・どんな時かを把握し、
取り扱いやバックアップなど、日々のオペレーションを明確にします。

この作業をして、情報漏えい事故が起きた時に
原因究明・責任の所在・必要部署への報告・適切な対応・改善策の立案などの道筋を作っていきます。
 

(3)従業員への教育

次の段階は法律でも定められている通り、スタッフの対しての情報セキュリティ教育です。

せっかく情報マネジメント方法を確立したとしても、
スタッフが把握し、実行に移すことが出来なければ意味がありません。


徹底して個人情報に対しての取り扱いと漏えい防止の注意点、
万が一発生してしまった時にどのようにすれば良いかを指導していきます。

(4)定期的な内部監査

そして最後に、定期的に内部監査を実行することが挙げられます。

マネジメントシステムは一度作って終わりではなく、
継続的に運営することによってその精度を上げていきます。

従業員への教育・内部監査を定期的に繰り返し行い、習慣化することが大事となります。
 

(5)取り組みの見える化

さらに一歩進んだ最終段階として、「安心・信頼を見える化」を推進します。

つまり、クリニックとして個人情報について適切な取り組みを行っていることを
患者さんや取引関係企業に知ってもらいます。

クリニック内への掲示物・ホームページ・診察券などに記載し、周知していきます。

「見える化」の一つの方法として、第三者認証システムというものがあります。

プライバシーマークやＪＡＰＨＩＣ（ジャフィック）マークがそれにあたります。

法律に即して適切な運営がされている事業者に対し審査の上、マークを付与するものす。

取得するまでに期間や費用がかかるものですが、
情報漏えい時の損害賠償保険がついているものもあり、
事業者側にとっても安心できるものもあります。
 

(1)個人情報の取扱状況の把握
(2)マネジメントシステムを構築
(3)従業員への教育
(4)定期的な内部監査
(5)取り組みの見える化

以上、大切な患者さん・従業員の個人情報を守るために
一度クリニックの中でどのようにシステムを構築するか検討してみることをお勧めします。